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~~~  ビアトリクス・ポターの聖地を巡る旅(2018年6月) ~~~

4日目(6/20) 湖水地方 ボウネス・オン・ウィンダミア~アンブルサイド~グラスミア~ダーウェント湖~ニューランズ・バレー
  


  • ダーウェント湖(Derwentwater)の湖畔に建つ邸宅リングホーム(Lingholm)へ

▼絵本の舞台リングホームへ

五つ目の目的地であるリングホームに向けて、バスはダーウェント湖へ行きました。そのひとつ前のグラスミアでは、予定していた見学がキャンセルになってしまったので、予定よりも30分も早く14時半に到着しました。

ツアーガイドの方々は、こういった予定外のことも想定しながらツアーを遂行しなければいけないと改めてその大変さを思いました。といっても私のような団体予約を忘れるなんて凡ミスはないですね。

ダーウェント湖は、湖水地方で最大の湖ウィンダミア湖より北へ約35㎞ほどの位置にあり、移動するのに車で約30分ほどかかりました。ダーウェント湖の西側にあるリングホームへの行き方は、中心となる町ケズィック(Keswick)から汽船に乗船するか、路線バスを利用する場合、まずはケズィック行きのバスに乗り、そこからバスを乗り換えなければたどり着きません。

交通が不便な場所にある目的地ほど、ツアーにして良かったと思います。


私が2003年に英国旅行で訪れた際のリングホームの入場ゲート
「この先私有地」となっていて、このゲートまでしかたどり着けませんでした。


そして2018年のリングホームの入場ゲート
石球が設置された門柱に変わっていました。そしてこの中へとようやく入ることができるという感動で胸がいっぱいになりました。

リングホームの駐車場は、入場ゲートの外側にあり、本来ならば入場ゲートでバスを降り、徒歩で中に入らなければいけないところを、そのままバスで入場し、優先駐車場まで案内してもらうことができました。

もしかしたらツアー客は、優先駐車場で乗降だけ許されているのかもしれませんが、その移動中に一瞬だけ見ることができたのが、リングホームの邸宅です。


写真でしか見たことのなかったリングホームを目の前にして、私のボルテージは上がり、見つめるのが精一杯でカメラをスタンバイできませんでした。時間はたっぷりあることだし、あとで撮影すればいいと思ったところ、一般客が入場できるエリアは規制されていて、建物外観の全景が見れたのはバスで入場したこの時のみでした。画像は、リングホームのリーフレットより。


ビアトリクスが1885年から1907年までの間、毎年ではないものの9回の夏季休暇を、避暑地として家族と滞在したリングホーム。

この地がどうしてビアトリクスの聖地なのか?もちろん本人が訪れていたことだけで十分ですが、それだけではありません。ここは『りすのナトキンのおはなし』の舞台なのです。


彼女の描いたスケッチブックのひとつに「1903 Derwent Sketchbook」があります。これはダーウェント湖周辺をスケッチしたもので、リングホームの敷地内から描いた思われる景色も何点かあり、このスケッチブックの最後のページに彼女はこのように記しています。

ニューランズ  ティギーおばさん
フォウパーク ベンジャミン バニー
ダーウェント湖 りすのナトキン

『りすのナトキンのおはなし』は、リングホームの敷地に広がる森とダーウェント湖とダーウェント湖に浮かぶ小さな島、セント・ハーバート島(おはなしでは「ふくろう島」)と、島越しに見えるウォラ岳とファルコン岳など、ここから見える景色そのものがおはなしの舞台となりました。

また運が良ければ、湖水地方の北部の森の一部とスコットランドに住んでいるナトキンのモデルとなったアカリス(red squirrel)に会えるかもしれない森なのです。


リングホームのリーフレットに掲載されている園内マップ

このマップで見てもらっても分かる通り、私達のような一般観光客が通行できるのは、赤い印の部分のみでした。そのほとんどが私有地で散策することはできません。リングホームをはじめとする敷地内にある邸宅やコテージは、借りることができ、そういった方々は自由に敷地内を散策することが可能のようです。それからもうひとつの方法は、入場ゲートの横で飼育されているアルパカとの散策です。


入場ゲートのそばにあるアルパカ放牧場

何故アルパカなのか?公式ホームページによると、自然豊かで美しい森のあるこの場所は、アルパカを育てるのに最適な場所だそう。この散策コースは、アルパカと一緒に一般入場者が立入りできない私有地を散策し、湖の水辺まで近づき記念撮影。さらに森の中のビアトリクスがお気に入りだった場所へ、そこには木につるされたブランコがあるそうです。

散策コースの所要時間は1時間半で、大人2名から参加できるプライベートコースは80ポンド、希望者混合のツアーは1人35ポンドです。アルパカと友達になれるとてもチャーミングなツアーですが、この時の私達はそんなことを知る由もなく不思議な気持ちでアルパカを見つめていました。

リングホームの敷地は、約14万㎡で東京ドーム約3個分です。ビアトリクスが滞在したリングホームという邸宅は、1873年に建てられたもので、その他にもコテージが2軒、ロッジが2軒、ボートハウスが1軒が敷地内にあります。建物の周囲は美しい庭と、森が広がり、その先にダーウェント湖の湖畔の一部が含まれます。

しかし一般観光客は入場できるエリアが限られていて、入り口からキッチンガーデンへと続く道とダーウェント湖の船着き場までで、先の敷地内の地図の赤く示した部分です。

まずはキッチンガーデンを素通りしてダーウェント湖の船着き場へ。入場ゲートからガーデンまでは比較的平坦な道を進みますが、そこから先は湖畔まで下り坂で約5分ほど歩いた先に桟橋がありました。


この桟橋がケズウィックからの汽船が到着する船着き場「リングホーム」です。


桟橋のすぐ近くに生えている木。幹の太さは違いますが、小さな袋を木の実で一杯にしたりすたちがそこにいるかのよう。


その手前には大きな石があり、ブラウンじい様へのお土産に釣りをしているリスたちが見えるようです。

私がキョロキョロとナトキンの絵本の舞台の場所を探している間に、気がつけば桟橋にひとりぼっちでした。絵本のあの挿絵の舞台はこの辺りかしらと笑いながら話し合える仲間たちは、湖からの冷えた空気が肌を刺す前に早々に引上げてしまいました。

私は2003年からの夢が叶った場所に立ち、まだここで引き下がる訳にまいりません。


『ベンジャミン バニーのおはなし』の舞台となったフォウパーク(Fawe Park)。リングホームの桟橋より望遠レンズをつけて撮影したもの。

フォウパークは、私有地につき一般公開はされていません。リングホームの隣の敷地がフォウパークで、ビアトリクスは1903年に訪れ、おはなしの舞台となる風景をスケッチしました。


ここで一番撮影したかった風景は、『りすのナトキンのおはなし』で、ナトキンたちが小さな枝で作ったいかだに乗り、ふくろう島へと渡る場面です。

ビアトリクスは、リングホームの敷地より、真正面に見えるセント・ハーバート島と、その向こうに見えるウォラ岳(向かって左側)とファルコン岳(右側)を描き、その背景としました。

おはなしの季節は秋なので、木々の色は相違しますが、憧れの地のひとつに自分が立つことができ、身震いするほどの興奮に包まれました。ただ単に肌寒かっただけかもしれませんけれどもね。


欲を言うとこの先の立ち入り禁止の部分も行きたかったのですが、コテージを借りるお金はないので、もし次回があるとしたらアルパカと散策コースに参加したいです。

次の旅行記ブログは、リングホームの続きで庭やショップなどを紹介します。

ダーウェント湖の湖畔に建つ邸宅リングホームへ(完)
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▼当時の測量地図から再現された庭が見られるリングホーム

リングホームは、ビアトリクス・ポターが1885年から1907年までの間、夏から秋にかけての休暇を過ごすための避暑地として、家族とほぼ毎年滞在した場所で、『りすのナトキンのおはなし』の舞台になった場所です。この敷地の一部が2016年より公開されることになり、一般旅行客も訪れることができるようになりました

上記の記事は、リングホームの汽船が到着する船着き場から見える風景について紹介しました。6月とはいえ何も遮るものがない桟橋は、風をまともに受け体感温度が下がります。上着を着用していたとはいえ、冷えには勝てず、気がつけば独りぼっちで撮影していました。

もう一度リングホームの地図を見ていただくと、森に囲まれた全体がリングホームの敷地(東京ドーム約3個分)で、地図にある赤く塗られた点線部分のみ自由に行き来できる個所として開放されています。見学できる箇所として前回紹介した桟橋の他に、地図の中央部分にある八角形の壁に囲まれた庭と、その向かい側にショップが併設された地図の「キッチン(kitchen)」となっているオープンカフェがあります。


ピーター?愛嬌のあるピーターがお出迎え。


オープンカフェ


ハムホックサラダ&カモミールティ 10.6ポンド

桟橋から戻って友人たちを探すと、オープンカフェで食事中でした。本当はここで食事する予定ではなかったのですが、朝から移動と予定を詰め込み過ぎて疲れが出たのと、冷えた体を温めるため休憩タイムとなりました。

私は、サラダだったら間違いないでしょうと思い「ハムホックサラダ」を頼んだのに、ブルーチーズがたっぷり入っていて、新鮮な野菜すべてにブルーチーズの香りが漂い、臭くてまったく食べられません。美味しそうな新鮮野菜は、目の前の八角形の壁に囲まれた家庭菜園の庭で収穫されたものです。ブルーチーズさえなければ食べられたのに。。。

資料館の皆さんは、アフタヌーンティーセットを旅行前に予約されていたため、カフェではなく別の場所へと移動されました。この別の場所というのが、後で調べたらすごい場所だったのです。


ビアトリスがスケッチをしたという温室。温室の向こう側に見えるのがリングホーム。

現在公開されている八角形の壁に囲まれた庭は、2016年にリングホームが一般公開されるのを機に、昔の測量図を参考に正確に再現されたものですが、以前と同じ場所ではなく、リングホームの建物より少し北側の位置に再現されました。

昔の八角形の壁で囲まれた庭にあったもので、唯一残されているのが、資料館の皆さんがアフタヌーンティーを楽しんだ別の場所、温室です。

この温室に使用されていた骨組みの木材は、良質なものが使用されていた為、修復してカフェの一部として再利用されています。この温室でアフタヌーンティー(予約必要)が楽しめるのは、毎回ではないようですが、運が良ければ楽しめるそうです。まさしく皆さんは運が良かったということですね。残念ながらその時の写真はありませんが。


ショップ

ピーターラビットグッズが一番目立つ場所に陳列してありました。BBC(英国放送協会)で毎週日曜日放送される3Dアニメ「ピーターラビット」が、英国で大変人気だそうです。ハリーポッターをも意識して制作されているとのことで、原作にはないピーターの恋人役も登場し、2016年にアニメのアカデミー賞と呼ばれるアニー賞も受賞するほど高い評価を得ています。そんなアニメキャラのグッズも豊富にありました。


3Dアニメキャラの手押し車


八角形の壁に囲まれた庭

ショップから少し下がった位置にあるのが、八角形の壁で囲まれた家庭菜園です。見るからに新しい庭ですが、こちらは2016年の公開を前に1890年代の測量図(survey map)を基に再現されました。


オーク材のドア

この庭の入口に付けられたドアは、以前リングホームの入口で使用されていたものです。1950年代に、リングホームのドアの取り替え工事が行われ、以前のドアは保管されていたものが再利用されています。

私たち一般観光客は、リングホームに近づくことができないので、ビアトリクスもきっと何度も利用したであろうこのオークのドアは、屋敷に関するもので唯一見ることができます。

この庭にぐるりと1番から8番までガーデンパネルが設置されています。


温室を中心に小道があり、真ん中で分岐して左右に分かれる道があり、一方はリングホームへ、もう一方は桟橋へつながっています。


ガーデンパネルの3番に、『ピーターラビットのおはなし』とマグレガーさんの畑についての解説がありました。


このパネルの中央の上に、ビアトリクスがこの庭をスケッチした作品が掲載されています。真っすぐに伸びた小道の両脇に色々な植物があった様子が描かれています。再現された庭は、まさしくビアトリクスが描いたそのままですね。

さらにこのパネルに『ピーターラビットのおはなし』について、ピーターがくぐった木戸やマグレガーさんの畑について紹介されていました。

『ピーターラビットのおはなし』は、1902年出版社の要望で、挿絵に色をつけるという条件で出版されることになりましたが、ビアトリクスは後の手紙のやりとりで以下のような種明かしをしていました。

「もしもマグレガーさんの菜園と木戸のモデルがどこかにあったとすれば、たしかケジック近郊のリングホームだったと思う」と書いています。

しかし、その続きがあり「だけど造園家が庭を壊して新しく設計しなおし、散歩道をつくってしまったので、もうあそこへ行って探しても無駄です」とありました。

(参照:「Beatrix Potter 1866-1943 The Artist and Her World」P104)

それから、ピーターラビットが出版される前に制作した私家版についてのエピソードもパネルにありました。私家版の口絵として、1枚だけ色付けされた挿絵がありますが、これはリングホームから印刷会社へ送られていることが分かっています。

ビアトリクスにとってリングホームは、『りすのナトキンのおはなし』の舞台だけではなく、『ピーターラビットのおはなし』の挿絵に色をつけるための舞台でもあったのですね。

そしてビアトリクスが壊されたと嘆いた庭園は、以前のものが再現されていますから、皆さんも聖地のひとつとしてその息吹を感じ取ることができるはず。


リングホームのもうひとつ有名なことといえば、花が好きな方や園芸家などが興味を持たれることかもしれませんが、世界で認知されているリングホームの名前のついた「リングホームポピー Lingholm Poppy(Meconopsis Lingholm)」というここだけの品種があります。特徴はアジュアブルー(azure blue)という薄い青色、空色のような色だそうです。

この場所にやってきた際、ドライバーのデレックが最初に連れてきてくれた優先駐車場の裏手で何とはなしに撮影したものに、その貴重なポピーが写っていました。一般公開されている中では見かけなかったので、花の時期により公開されているのかもしれません。この花についての説明は、ガーデンパネル8番にありました。


庭をぐるりと一回りした後、敷地の外の駐車場へと続く道へ。敷地の外に近づくにつれ、大木に囲まれた森となり、こうした日が陰った森の中になるほどジギタリスが元気に群生していました。

ようやく夢が叶ったリングホームへの訪問でしたが、訪問できる場所が一部だったため、少し物足りなさが残ったも事実です。


それこそ贅沢な悩みですが、りすのナトキン(アカリス)には出会えなかったし、ビアトリスが歩いた湖畔沿いも歩けなかった。ナトキンがボーリングをしたフラットな岩も見つけられなかったと嘆いていたら、出口にいくつかの岩が並んでいました。この岩のどれかがナトキンが遊んだ岩かもしれませんよと、リングホームがビアトリクスファンに対しサービスしてくれているのでしょうか?


この後少し時間があったので、隣にあるフォーパークへ。リングホームの目の前のフットパスをケズィック方面に10分ほどで到着。

ここは私有地のためフットパス沿いにしか見ることはできません。このひとつ前の英国旅行記でダーウェント湖湖畔から見たフォーパークの建物一部は見られましたが、フットパス側からは庭のほんの一部と、、、


石垣

フォーパークは、1903年にビアトリクスが避暑地として滞在した場所で、『ベンジャミン バニーのおはなし』の舞台となった場所。そして見ることは叶いませんが、ビアトリクスがおはなしに描いた通りの庭を、そのまま維持されているそうです。でも唯一見られるものとしてこの石垣は、ピーターとベンジャミンが洋なしの木をつたって降りた場所であり、ベンジャミン・バニー氏が颯爽と登場した場所です。


石垣の隙間より見えたフォーパークの庭
石垣のすぐそばにある洋なしの木の枝と、ピーターとベンジャミンが石垣から見たような、遠くにダーウェント湖が見えました。リングホームに観光にいらっしゃる際は、ぜひフォーパークの石垣もご覧ください。

少し長くなりましたがリングホームの旅行記はここまでです。次の英国旅行記は、私も行ったことがない場所で、河野先生がいらっしゃるからと大船に乗ったつもりが、ドタキャンとなり皆さんを無事に案内できるかとても不安だった場所へと向かいます。

ダーウェント湖の湖畔に建つ邸宅リングホームの続き(完)
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