~~~ ビアトリクス・ポターの聖地を巡る旅(2018年6月) ~~~
6日目(6/22)グロースター グロースター~ロンドン パディントン駅
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▼『グロースターの仕たて屋』の舞台となった「仕たて屋の家」 5日目の続きからですが、グロースターに到着した時間は午後3時過ぎ、チェックインを済ませすぐにグロースターのメインイベント、「グロースターの仕たて屋の家」に向かいました。午後4時半にクローズしてしまうため、大急ぎで向かいましたが、ホテルから徒歩5分という近さなのであっという間に到着です。 ![]() 『グロースターの仕たて屋』は、グロースターのシンボルである大聖堂を周辺とした地域を舞台としたおはなしで、町の名前がタイトルとなった唯一のお話です。 このお話の主人公、年老いた仕たて屋が経営するお店の舞台として、ビアトリクスが選んだのは、コレッジコート(College Court)と呼ばれる路地の一番奥にある建物でした。 グロースターの町は、町の中心部を起点とし、東西南北に大きな通りがあり、それぞれの方角がストリートの名前になっています。コレッジコートは、ウェストゲート通りから大聖堂へと向かう路地の名前で、大聖堂の手前にセント・マイケルズ門(St. Michael's Gate)があり、ここをくぐると大聖堂は目の前です。 ![]() 『グロースターの仕たて屋』より コレッジコートが描かれている挿絵。注目していただきたいのは、セント・マイケルズ門(正面に見える建物の下をくぐり抜ける場所)の向こう左側に見える大聖堂(Cathdral)のタワー。4本の柱の内、2本がはっきりと描かれています。 ![]() コレッジコート。 ビアトリクスが描いた頃より、周囲の建物が高くなっている為、挿絵の通りに撮影するのは至難の業です。路地ゆえスペースがない、右側の建物に張り付いて、背景の大聖堂のタワーを意識しながらようやくそれっぽいものが撮影できました。 しかし、撮影場所は路地を入ったすぐじゃないと大聖堂のタワーが隠れてしまうし、路地右側の建物ぎりぎりまで寄るので、周りの建物の入り口付近にあるものが目隠しになり、肝心のセント・マイケルズ門が写りこみません。 ![]() 『グロースターの仕たて屋』より ![]() この建物を撮影する際、左斜めから撮影してしまうのは、この挿絵の影響です。しかし、ここから撮影すると、正面入り口が奥まっているため隠れてしまいます。 ![]() 正面から撮影。 おはなしでは仕たて屋の店として描かれましたが、ここはファンにはたまらない「グロースターの仕たて屋の家」として、魅力的な博物館とショップがオープンしています。入場無料。 この建物は、1535年までその歴史を遡ることができ、ビアトリクスが描いた頃1890年代は私邸でした。 1978年に『グロースターの仕たて屋』の出版社であるフレデリィック・ウォーン社が購入し、ビアトリクスが描いたように店の内装と間口を改装し、「仕たて屋の家」アトラクションとして1980年にオープンしました。 この場所は、グロースターで真っ先に訪れたい場所ですが、この町はそこだけが見所ではありません。町全体がおはなしの舞台だからです。この町に降り立ち、建物の間から大聖堂がチラチラと見える景色を見ながら歩いていると、おはなしの舞台へ舞い降りたように武者震い?がして、興奮MAXになってしまうのです。 とはいえ、時間がないので町の見学は後回しにして、まずは「グロースターの仕たて屋の家」を見学。1階はピーターラビットのショップになっていて、この店オリジナルの『グロースターの仕たて屋』グッズなども販売されています。 ![]() 1階から2階へと通じるカーブした階段は、階段と壁の隙間の吹き抜けを利用し、グロースターの町の景色に欠かせない大聖堂のオブジェが掲げられています。 2階は、私達11名全員が見て回るにはちょっと窮屈なスペースでしたが、『グロースターの仕たて屋』の魅力が満載された博物館になっています。 ![]() ジョン・プリチャードについての紹介コーナー。 ジョンが仕たて屋で実際に使っていた仕事道具の展示。 このおはなしは、実話を基に作られました。仕たて屋のジョン・プリチャードは、週末にチョッキを作るため、生地をそれぞれのパーツに裁ったまま店を後にしました。そして週明けに店を開けると、「あな糸が足りぬ」というメッセージを残して、チョッキが仕上がっていたのです。それを彼は、妖精が作ったと世間に触れまわりました。 「夜に妖精たちがチョッキを作ってくれるプリチャードの仕たて屋さんにいらっしゃい "Come to Prichard where the waistcoats are made at night by the fairies."」 彼はお店のショーウィンドウにこのような張り紙を出し、世間の注目を集めました。その噂話をビアトリクスは、グロースターの近郊の町ストラウドに住む従姉妹のキャロライン・ハットンから聞きました。 このお話に好奇心をそそられたビアトリクスは、グロースターの町に出かけ、あちこち町の風景をスケッチしました。こうして『グロースターの仕たて屋』のお店として、ビアトリクスが選んだ建物が、お話が出版されて100年以上経つ現在も、私達ファンを世界観そのままに楽しませてくれています。 ![]() 窓際にある大きなガラスケースは、仕たて屋ネズミたちがチョッキを仕立てる様子を見ることができるからくり仕掛けのもの。雪が積もった屋根まで再現されています。 ![]() 猫のシンプキンの気持ちになって、窓から仕たて屋たちの作業を覗きこみます。 ![]() 『グロースターの仕たて屋』で、仕たて屋ネズミたちが仕上げた刺繍が美しいチョッキのレプリカは、グロースター州の婦人会(The Women's Institutes, WI)の作品だそうです。ビアトリクスが模写したチョッキの本物は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にあります。 ![]() また、年老いた仕たて屋の人形も手作りと思われます。そしてたくさん窓のあるキルト作品も手作りでしょう。これらの展示作品の多くは、ビアトリクスファンより寄贈されたものだそうです。ファンも一緒になって博物館を盛り上げていく、このような試みもファンにとっては嬉しいですね。 ![]() 寄贈されたものは手作り作品だけでなく、過去から現在に至る様々なグッズ、もちろん見覚えがあるものもあるでしょうけれども、そういった品々も展示されています。 ![]() 一番下にあるのは、グリムウェイズ社の磁器セット。 ![]() 反対側の大きな棚には、様々なフィギュアが展示されていました。 ![]() フロアの真ん中に展示されているのは、ビアトリクスが考案したピーターラビットのボードゲーム。このディスプレイがなければ、もう少し余裕で見て回れますが、なにしろ狭い!ネズミたちがくつろぐには十分すぎるスペースですけどね。 ![]() 最後に紹介するのは、とても貴重な展示パネルです。 この数枚のパネルは、『グロースターの仕たて屋』に描かれた挿絵の建物や通りの名前を特定し、それらをパネルにして紹介しています。 例えばパネル上段の一番右のパネルは、年老いた仕たて屋が店を閉めて自宅へ帰る途中の道を描いたものですが、「これはノースゲート通りより1本入ったオックスボディ通り(Oxbody Lane)。現在オックスボーデ通り(Oxbode)と名称が変わり、キングス広場へ続く広い道路になりました」とあります。 パネルには、その場面の挿絵と、昔のオックスボディ通りの写真があり、見比べると通りの両側の建物や、真正面に大聖堂が見える様子といい、見たままの景色の通りがそこにありました。 ![]() しかし、その場所は、区画整理され百貨店デベンナムズが建ち、すっかり様変わりしてしまいました。当時の名残りとして、正面に大聖堂のタワーが見えます。 グロースターの町の散策は、次の記事でたっぷり紹介することにして、次に1階のショップの奥にあるスペースは、ビアトリクスが描いた挿絵をもとに再現された仕たて屋の家のキッチン兼リビングルームです。 ![]() 大きな暖炉の前には、仕たて屋が疲れて倒れこむように座った椅子と古時計。 ![]() そしてその横にある食器棚には、シンプキンが捕まえたネズミたちを誇らしげに見つめる後ろ姿を楽しむことができます。 さらにショップは、ピーターラビットファンが素通りできないグッズであふれかえっています。ここでの売り上げが施設の運営費となり、管理は熱心なボランティアによって支えられています。この施設を末永く運営してもらうために、訪れる人たちがグッズを購入することで助けることができるのです。 ![]() ロイヤル・ドルトンのフィギュアと、ロイター・ポーセリンの磁器製品 ![]() 新しいグッズも昔から変わらないデザインのものも両方扱っているのがとても嬉しい。 ![]() グロースターの仕たて屋の新デザインのぬいぐるみは、ここでしか購入できないかも。 ![]() 「グロースターの仕たて屋の家」オリジナルマグカップ ![]() 同じくオリジナルトートバッグ ![]() ショップで販売されていたリーフレット(50ペンス)について: 白黒印刷のA4より少し大きいサイズの3つ折りリーフレットですが、このお話の簡単なストーリーを含め、実際に起きた出来事をもとにしたお話である仕たて屋のジョン・プリチャードの紹介、そしてビアトリクスがこの実話を絵本として出版したからこそ、さらに多くの人々を魅了し、「仕たて屋の家」のアトラクションへ英国本土はもちろんのこと、ヨーロッパ、北米、日本などから人々が訪れるとありました。単なるリーフレットではなく、ポイントを押えた読み応えのある内容でした。お土産にも良いと思います。 グロースターのメイン観光スポット「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションの紹介でした。次はグロースターの町散策について紹介したいと思います。 |
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| グロースターの仕たて屋の家へ(完) | |
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▼シンプキンになったつもりでグロースターの町を散策 グロースターの町のメインイベント「グロースターの仕たて屋の家」を訪れた後は、『グロースターの仕たて屋』に描かれた町の景色を探しに散策しました。 グロースターの町は、初めて訪れる観光客にとっても分かりやすい町で、町の中心部となる十字路より東西南北にそれぞれ通り名がついていて、ビアトリクスが描いたのはウェストゲート通り(Westgate street)が中心となります。 ![]() 2003年グロースターのインフォメーションで配布された地図より。 この地図の青く塗られた通りの真ん中の十字路が、町の中心部になります。そこから東西南北に通りが分かれていますが、ウェストゲート通りを中心に紹介していきます。この地図を参照しながらの内容になりますので、時々地図を見ながらお楽しみください。 「グロースターの町に、ひとりの仕たて屋が住んでいた。仕たて屋は、西門通りに小さな店を持ち、」 『グロースターの仕たて屋』ビアトリクス・ポター(著)石井桃子(訳)より 「西門通り」と翻訳されたのが、ウェストゲート通り(Westgate street)で、地図の赤丸20番となっているのが、「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションです。ウェストゲート通りから、コレッジコート(College Court)という名前がついた路地に入った瞬間から、おはなしの舞台となっていますのでお見逃しなく。 「仕たて屋は、店から外に出て、雪の道を足をひきずりながら家に向かった。仕たて屋はすぐ近くの大学通りに住んでいて、家は大学の前庭の隣にあった。」 『グロースターの仕たて屋』石井桃子(訳)より 次に仕たて屋の店から一緒に暮らすシンプキンが待つ自宅へと移動しましょう。 「大学通り」と翻訳されたのは、店がある路地のコレッジコート(College Court)のことです。仕たて屋は店を出て、大聖堂(Cathedral)へと続くセント・マイケルズ門をくぐりました。そうしたら目の前に大聖堂が見えます。 ![]() セント・マイケルズ門をくぐったら、 ![]() すぐ目の前に大聖堂。 ![]() 右手のレンガ造りの建物2階の辺りの表記を見ると「コレッジグリーン(College Green)」とあり、その建物の左隣の通路がセント・マイケルズ門です。 この場所の通りの名前を確かめたい時は、通りの近くにある建物の角を探すと、日本の電信柱に番地が表示されているように必ず明記されているので便利です。 仕たて屋の住んでいた家は、「大学の前庭(College Green)の隣にあった」とあります。翻訳は「大学」とあるので、近くに大学があるのかと思ってしまいます。しかし目の前にあるのは大聖堂です。そして、大聖堂の前にある広場が、大学の前庭と翻訳されたコレッジグリーンです。住んでいた家は、その隣にありました。 ![]() 「All the way up Westgate, and down the lane-called Three Cocks' Lane- (ウェストゲート通りをさらに進んだスリー・コックス通りと呼ばれる路地にある)」 この書籍は、フリーダ・ムーア宛に送った『グロースターの仕たて屋』オリジナル原稿(1901年)を書籍化したものです。表紙に描かれているのは、仕たて屋がシンプキンと一緒に暮らしていた家。 さて、その隣にあったというのは、スリー・コックス通り(Three Cocks Lane)のことです。どうして通りの名前が分かるのかと言いますと、フリーダ・ムーア宛に送ったオリジナル原稿と、私家版に、住んでいた通りの名前が書いてあるからです。出版されたものには、その隣にあったとだけ記され、通りの名前は記載しませんでした。 ![]() 『グロースターの仕たて屋』で、オリジナル原稿(上に紹介の書籍の表紙にあった図)より描き直しされた同じ挿絵。 地図を見ていただくと、赤丸7番の大聖堂(Cathedral)の西隣の通り、ウェストゲート通りに面した通り名に小さい文字で「Three Cocks Lane」と書かれています。そこに仕たて屋が住んでいた家がありました。 ![]() スリー・コックス通り Three Cocks Lane 今はご覧の通り新しい建物に変わってしまい、当時の面影は残っていません。この場所にはかつて、挿絵に描かれたような、三つの切妻屋根をもつチューダー様式の建物があったとされています。 その一方で、現在のグロースターにも古い木骨造りの建物は残されています。その一つが、ウェストゲート・ストリートにあるグロースター・アンティークショップです。 ![]() ウェストゲート・ストリート26番地にあるアンティークショップ。 アンティークショップの正面は19世紀に改装された比較的新しい外観ですが、建物右側の細いマヴァーダイン・レーンに入ると、16世紀後半の木骨造りや切妻窓を備えたチューダー様式の側面を見ることができます。 建物はかつて裁判官の宿舎としても使われ、「オールド・ジャッジズ・ハウス」と呼ばれています。 ![]() オールド・ジャッジズ・ハウスのチューダー様式の側面。ウェストゲート・ストリートに面した正面ではなく、建物脇の細いマヴァーダイン・レーンから見上げた姿である。現在、建物内にはグロースター・アンティーク・センターが入っている。 出典:Wikimedia Commons, Old Judges House, photographed by Rodw, 12 September 2013, CC BY-SA 3.0. 次にスリー・コックス通りからウェストゲート通りに戻ってさらに西側に目をやると、空に向かって尖塔が突き出ている建物が見えます。 ![]() 聖ニコラス教会(St. Nicholas Church) こちらは建物から突き出た時計に注目してください。 ![]() 『グロースターの仕たて屋』より この挿絵にある通りに突き出た時計は、この教会の時計と思われます。さらにこの挿絵の左側に描かれている建物、2階部分が張り出している建物は、地図の赤丸15番のグロースター民俗博物館(Gloucester Folk Museum)です。 ![]() グロスター民俗博物館 もうひとつ注目すべきものとして、挿絵に描かれている左側に王冠マークの看板と、右側に太陽の看板があります。 民族博物館のあった場所にクラウン・イン(Crown Inn)という宿屋が、サン・イン(Sun Inn)という宿屋はもう少し離れた場所にあったそうですが、王冠と太陽という名前の宿屋がウェストゲート通りにあったそうです。ビアトリクスがこの町を訪れた時には、どちらの宿屋も廃業していたそうですが、偶然の一致として興味深くありませんか? ![]() 時計と言えばもうひとつ紹介したいものがあります。これは『グロースターの仕たて屋』とはまったく関係がありませんが、地図の最初に紹介した中心となる十字路からサウスゲート通り(Southgate Street)に曲がったすぐのところにある建物から飛び出しているもので、観光客の注目を集める時計があります。 ![]() ベイカークロック(Baker Clock) ここに配置されている等身大のフィギュアは、真ん中に時を司る神ファーザー・タイム(Father Time)、左からアイルランド夫人、イングランド人、スコットランド人、ウェールズ夫人が、からくり人形仕立てで建物から飛び出たジャコビアン様式の装飾が美しい時計の下にある鐘のロープを引っ張り、時間を知らせてくれます。 ![]() グロースター州ホール(Gloucester Shire Hall)地図の赤丸11番 ここで再び実話に戻りますが、ジョン・プリチャードの仕たて屋が市長のスーツを作るところから端を発しました。 ジョン・プリチャードは、「夜に妖精がやってきてスーツを仕立てた」と宣伝に使いましたが、ビアトリクスは妖精ではなく、恩返しの優しい仕たて屋ネズミに変えて不朽の名作に仕上げました。 おはなしでは市長が結婚式に着用するためのスーツでした。 実話の方は、町の中心部の十字路にあるギルドホールから、ウェストゲート通りをグロースター州ホールまで、毎年恒例の「年度初苗とフルーツのオープニングを祝うショー」のためのパレードがあり、その式典のためにスーツを依頼しました。 このグロースター州ホールの印象的な正面装飾は、ロンドンの大英博物館をデザインした建築家によるものです。しかしこの建物は、第2次世界大戦後のものとなり、ビアトリクスが目にしたものではありません。 続いて、州ホール(Shire Hall)より、ウェストゲート通りを挟んだ反対側の通り、コレッジ通り(College Street)も見どころ満載です。 ![]() 真新しい建物ですが、切妻屋根風の屋根が連なる先に大聖堂を見ることができます。 挿絵に描かれたのは、コレッジコート通り(College Court)から見る景色ですが、コレッジ通り(College Street)からの方が大聖堂はよく見えるのでお勧めです。 ![]() フリーダ・ムーア宛に送った『グロースターの仕たて屋』オリジナル原稿(1901年)を書籍化したものより。 ![]() オリジナル原稿に描かれた挿絵と同じチューダー様式の建物は、コレッジ通りの向かい側にあり、ビアトリクスが描いたそのままに見られます。 2003年にグロースターを旅行した際は、ここに陶器屋さんがあり、たくさんのフィギュアが展示されていました。また訪れるのを楽しみにしていたのですが、陶器屋さんではなく貸店舗となっていました。移転されたかどうか不明ですが残念です。 『グロースターの仕たて屋』は、ビアトリクスのいとこのキャロライン・ハットンから聞いた実話を基にして作ったものですが、この実話を面白いと思った彼女がまずおこなったのが、話を聞いた翌日にグロースターの町をスケッチしたことでした。 一番最初にスケッチした場所は、実話のジョン・プリチャードが経営していた仕たて屋の店で、ウェストゲート通りからコレッジコートへと曲がる向かい側の正面にありました。 ![]() スウォード・イン(Sword Inn) 現在、その仕たて屋があった場所は、酒場 パブを営業する店となっています。名前の由来となっている剣の看板が素敵です。 看板といえばひとつ残念なことがあります。 ![]() フリーダ・ムーア宛に送った『グロースターの仕たて屋』オリジナル原稿(1901年)を書籍化したものより。 食べ物がなく空腹なシンプキンがクリスマスイブの晩に、町にさまよい出てあちこちから聞こえる楽し気な唄に八つ当たりする場面です。この挿絵は出版されたものには使用されませんでしたが、この看板が残念なのです。 看板に描かれたのは、ゴールデン・キャンドル(金色ロウソク)で、市長がオーナーの食料雑貨店の店先にあったものだそうです。 しかしその店にあったとされるそのような看板は資料画像にもなく、その店の象徴となっていた建物正面にあったゴールデン・ホッパー(金色バッタ)の像が、先程紹介した民族博物館に展示されています。ビアトリクスが描いたこの看板も一緒に保存していただければ良かったのにと残念に思います。 これで『グロースターの仕たて屋』で描いた町や通りの景色については、大体のところ紹介しました。 「えっ、ひとつ説明が抜けてるって?」 ![]() 『グロースターの仕たて屋』より 「この挿絵が描かれた場所が抜けていました。この通りは、見たくても見られない景色だからです。」 この挿絵に描かれた風景こそが、すっかり変わってしまった風景となります。 たまたまグロースターの書店で購入した「Gloucester Through Time(グロースター移りゆく景色)」に、再開発される前の景色の写真が掲載されていました。 ![]() 『Gloucester Through Time(グロースター移りゆく景色)』Rebecca Sillence(著)2011年出版 ![]() ノースゲート通り(Northgate Street)のオックスボディ通り(Oxbody Lane) 出典:「Gloucester Through Time」P40より 現在は、オックスボーデ通り(The Oxebode)と名前が変わり、1930年代に再開発され大型デパートデベンナムがあることでも知られています。地図のノースゲート通りのデパートメントストア(Department Store)とある辺りです。すぐ近くにキングス広場(Kings Square)があり、広場でくつろぐ人たちでにぎわっていました。 ということで、2003年から続くこの挿絵に似た風景を探し求める旅は、幻だったという結論で終了しましたが、その風景によく似た景色を探すというミッションが残っていました。 ![]() ウェストゲート通りのブル通り(Bull Lane) この場所は、南から大聖堂に向かってブル通りを歩いた時に見つけた景色です。 大聖堂の向きは北にあるノースゲート通りから見るのと違いますが、幸いなことに大聖堂の柱は真四角なので、見る向きが変わっても見える景色はあまり変わりません。 より近づけるために白黒にしてみました。近代化された建物に目をつぶっていただければ、なんとはなしに雰囲気は伝わると思います。 ![]() さて、私達は『グロースターの仕たて屋』のアトラクションを見学し、そして挿絵に描かれた町の景色や通りを堪能した後、今夜のディナーとなるレストランへ向かいました。 レストランは、幻となった景色の近くにある、キングス広場に面したレストラン「チェンバース(The Chambers)」へ。 ![]() メニューは、トマトスープにパン。 メイン料理は、ハンターズチキンと、コールスローサラダと生野菜に大量のチップスとオニオンリングフライ。 ソースだったか忘れましたが、全体的に異様に辛くて、地元の人たちは辛い物好きというレッテルを貼りたくなるほどでした。 コース料理:20ポンド/1人 サウスゲート通りに面したホテルは、町中にあるため移動も徒歩で楽々ですが、夜は町の喧騒が響き渡り、部屋は通りに面していない方が静かだったかもと思いました。しかしこの日は移動もあり疲れたので、うるさいなぁと思ったのもつかの間すぐに眠りにつくことができました。 最後に、グロースターの町散策で、私が参考にさせていただいた資料を紹介します。 ひとつ目は、「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションのギャラリーに展示されている挿絵の建物や通りの名前を特定したパネルです。 ![]() 「Beatrix Potter's Gloucester」キース・クラーク(著)フレデリィック・ウォーン社1988年(刊) ふたつ目は、旅行前に偶然入手したこの書籍です。 この書籍は、『グロースターの仕たて屋』が生まれるきっかけとなった経緯や、ビアトリクスがこのお話のために描いたスケッチや挿絵がどこを描いたのかなどを解説した書籍です。これを読めばグロースターの旅は完璧です。私が入手したものは初版で、偶然にも著者キースさんのサイン入りでした。 こうして、グロースター滞在一日目が終了しました。グロースター滞在二日目は、グロースター大聖堂の見学です。 |
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| 『グロースターの仕たて屋』の挿絵に描かれた町の建物や通りを散策(完) | |
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