ラピータの部屋ビアトリクス・ポターの作品とその世界英国・湖水地方の旅2018年目次> グロースター大聖堂とロンドン散歩その1

~~~  ビアトリクス・ポターの聖地を巡る旅(2018年6月) ~~~

6日目(6/22)グロースター グロースター~ロンドン パディントン駅
  


  • グロースター大聖堂で『ピーターラビットのおはなし』に描かれたクロウタドリに出会う

▼グロースターの町のシンボル大聖堂

グロースターの町のシンボルでもある大聖堂は、町の中心部にあり、私達ビアトリクス・ポターファンが真っ先に訪れる「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションのすぐそばにあります。


グロースター大聖堂(コレッジグリーン側から撮影)

大聖堂は、修道院の一部として1089年より建設が進められ、1540年以降は英国国教会のグロースター教区教会として地元民だけでなく、多くの観光客も訪れます。


正面入り口は、二つの鍵が左右に開く自動ドア。

入り口には関係者の方が数名いて、観光客と思われる人々に声をかけています。日本人とみるとすぐに日本語のリーフレットを渡してくれました。


大聖堂の西窓
大聖堂に入ったあと、入口側を振り返って見上げた西窓の大きなステンドグラス。
15世紀頃の垂直式ゴシック様式の窓に、19世紀後半の修復時にステンドグラスが設置されたものです。聖書にまつわる人物や場面が、幾段にもわたって色鮮やかに描かれています。


大聖堂の回廊
リーフレットには、「回廊は修道士の生活エリアです」とありました。
最初は「この通路で生活していたの?」と驚きましたが、ここでいう生活エリアとは、寝泊まりする場所という意味ではありません。
回廊は教会や食堂、寝室などを結び、修道士たちが行き交い、読書や黙想をする、修道院生活の中心となる場所でした。


キング・エドワード2世の墓標

現在は観光客が大勢訪れる大聖堂ですが、その昔はキング・エドワード2世(1327年没)が埋葬されたことがきっかけに、巡礼者が大勢訪れる場所となりました。
大聖堂の周りにたくさんの宿屋(Inn)があったのは、巡礼者たちの宿が必要だったからです。
墓標の彫像は、アラバスターという美しい白色の鉱物を使用していて、近年これらの彫像が修復されました。よく見ると王の足元には獅子が、枕元には天使がいます。


グレイト・イースト・ウィンドウ

1350年代に設置された世界最大の窓(高さ22mx幅12m)です。このステンドグラスは、エドワード2世が埋葬された後に制作されたもので壁一面を覆いつくしています。


天井装飾

天井装飾の彫刻は、見上げなくても見られるように鏡が設置されていました。
これがなければハープやシンバルを手にした天使の彫刻に気が付かずに通り過ぎるところでした。


レディ・チャペル
キリストの母である聖母マリアにちなんで1470年代に再築された礼拝堂です。
大聖堂の入り口と正反対の奥に突き出た部分にあり、ここだけ雰囲気が変わり、とてもエレガントな装飾と気品のある美しさにしばし見惚れました。




中庭
回廊から中庭へ。中庭もとても居心地がよく、ベンチもあってひと休みできました。中庭の撮影をしていた時、足元に鳥がやってきて、一瞬でこれはクロウタドリだと分かりました。

そう『ピーターラビットのおはなし』に描かれたクロウタドリです。


クロウタドリのオスとメス


「マグレガーさんは、くろなきどりを追い払うのに、作った案山子にピーターの小さな上着を着せ、靴をはかせました。」
『ピーターラビットのおはなし』より ビアトリクス・ポター(著)石井桃子(訳)

翻訳ではクロナキドリとありますが、一般的にはクロウタドリと呼ばれているそうです。
カラスのような見た目ですが、体の大きさは、カラスよりは小さく、スズメよりは大きかったです。日本では滅多に見ることはできません。

以前、動物学者の先生にクロウタドリについて質問しました。
『ピーターラビットのおはなし』のこの挿絵に描かれたクロウタドリというのは、案山子の場面で説明があるので分かるのですが、色が相違するこの鳥はクロウタドリのメスと思うのですがいかがでしょうか?


質問した挿絵がこちらです。

先生はしばらく挿絵を眺めた後、「ずばりメスです」と答えてくださいました。

動物の群れは、オスを中心とし複数のメスで成り立っているのですが、鳥に関していえば一夫一婦制が多く、生涯夫婦で行動するというのが大きな特徴だそうです。
そして、そこに描かれている黒い鳥はクロウタドリのオス(嘴は黄色、色は黒、目の周りに黄色のリング)で、もう1種類の鳥はクロウタドリのメス(色は茶色、オスに比べ若干小さい)で間違いないそうです。

先生はこうも付け加えられました。「これもまたポターの観察眼の凄さであり、名作として世に残る作品はそういくつもない。そして名作として残る作品は、とことん見る人の目に耐えられる作品のみが世の中に残る。それが名作だ」と。

そんなクロウタドリの夫婦が目の前に現れたのです。これは興奮MAXでしたが、鼻息荒く近づこうものなら即座に逃げられます。クロウタドリたちは、中庭の草むらに巣があるようで、警戒しながら少しずつ巣に近づこうとしていたようです。オスは巣にたどり着きましたが、メスの警戒心は相当なもので、私がそばでカメラを構えていたため、それを気にして巣には近づきませんでした。


そんな様子を動画で撮影しました。下手な動画ですが、よろしければご覧ください。




ひときわ背の高いタワーの高さは68.6mもあり、「あの上にのぼってみたいね」となり、係の人に尋ねたところ、「ガイドツアーに参加してください」と言われました。

1人/7ポンド、水~金 14時30分、土曜日 13時30分、14時
ちょうどタイミングが良ければ参加したかったけれども、歩いてのぼるとしたら大変そうということで断念しました。

このタワーは、9時、13時、17時(週末は16時)にチャイムが鳴ります。
このチャイムの音も『グロースターの仕たて屋』に登場します。

「グロースターじゅうの古い家の屋根や、切妻から、クリスマスの唄をうたう千もの喜びの声が聞こえてきた。私の知らない―例えばディック・ウイッティントンが聞いた鐘のような―唄もいくつか。」

『グロースターの仕たて屋』より ビアトリクス・ポター(著)石井桃子(訳)


『ディック・ウイッティントンとねこ』
皆さんも聞いたことがあると思うイギリスの民話ですが、14世紀に3期ロンドンの市長を務めたリチャード・ウィッティントンにまつわる話です。
貧しい少年が飼っていたネズミ捕りが得意なネコが、外国でネズミを退治し、その褒美で大金持ちとなる物語です。
その時に聞いた教会の鐘の音が「もどってこ~い、ウイッティントン、3度ロンドンの市長になる!」と聞こえたという有名なお話です。

ビアトリクスは、クリスマスイブの晩に聞こえた大聖堂の鐘の音と、デイック・ウイッティントンのエピソードを重ね合わせ、おはなしにより深みを与えたのでした。

そんなグロースターの鐘の音をラッキーにも聞くことができました。この鐘の音は曜日によってメロディーが替わるそうで、私達が聞いたのは金曜日の午後1時の鐘の音です。

ランチは、お腹ペコペコになりながらも14時まで我慢したのは、アフタヌーンティーセットのためでした。

場所は、「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションの目の前にある「リリーズ レストラン&ティールーム(Lily's Restaurant & Tearoom)」。


場所は、「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションの目の前にある「リリーズ レストラン&ティールーム(Lily's Restaurant & Tearoom)」。


The Tale of Peter Rabbit Afternoon Tea 30ポンド(2人分)


メニュー:
サンドイッチはチキンかチーズのどちらかを選んで、Bunnyショートブレッド、コットンテールのキャロットケーキ、ブラックベリータルト、紅茶のティーポット

疲れ切った体に甘いものが染み渡ること、美味しいのもさることながら、見た目も可愛いし、食べた後のピーターも可愛くて、女子高生のようにきゃぴきゃぴしながら食べてたら、周りのテーブルの注目を浴びてしまいました。

スタッフも「おい、あいつら見てみろよ。おかしなやつらだぜ(笑)」って言ったかどうかは分かりませんが、この時間がこの旅行で一番楽しかったのでついはしゃぎすぎました。


グロースター駅(ウェストゲート通りから徒歩15分ぐらい)

この後、グロースター駅からロンドンまで電車で向かいました。
ツアーバスは、朝早くに資料館の皆さんを乗せてコッツウォルズに向かったので、私達3名はグロースターの帰りから個人旅行となりました。移動中に邪魔になるスーツケースは、ツアーバスに乗せてもらい、ロンドンのホテルでピックアップしました。


切符は、レイル・ヨーロッパで、オンライン注文しました。
切符の発行は、事前予約番号さえ分かっていれば、駅の切符売り場で購入可能です。
とても簡単ですが、手数料が1500円かかります。

オンラインで予約した際、「座席指定券は含まれています」と明記されていたので安心していたのですが、現地で切符に交換すると座席番号の明記がありません。駅員さんに確認すると、この切符は座席指定に交換できないと言われてしまいました。


発車時刻予定の電光掲示板。

ちょうど通勤時間だったようで、分刻みで電車が到着していました。私達が乗車するひとつ前に到着した電車は、日本の山手線並みの満員電車だったのでびっくり。私達が乗る電車も満員だったらどうしようと不安がよぎります。


グレート・ウェスタン・レイルウェイ(GWR)でグロースターからロンドンのパディントン駅まで、約2時間乗車。料金:31.5ポンド


私の心配をよそに、電車はガラガラで、座席の上の電光板表示に何も表示されていない席は勝手に座っても良い席で、私達の車両にはほとんど人が乗車していないぐらいでした。ロンドンに近づくにつれ、座席はほぼ埋まってしまいましたが。

パディントン駅で地下鉄ディストリクト・ラインに乗り換えるために地下通路を歩いていた時、英国紳士に呼び止められ、いきなり肩を鷲掴みされたので、びっくりして固まっていたら、私の足にくっついてたトイレットペーパーをわざわざ剥がしてくれました。

震える声で「センキュー」と言ったけれど、彼は微笑み、片手を挙げて去っていきました。
友人たちもその姿を呆然として見てたけど、「そういえばおかしなものくっつけてるなぁーと思った」だって。
「知ってたなら教えてよ!(笑)」笑い話で良かった。電車のトイレの床が汚れていたけれど、その時にくっつけてしまったみたい。
ロンドンにやってきた緊張で、お財布気を付けなきゃ、変な人に絡まれないようにしなきゃとか、自分の足元にまで気を配ってませんでした。とんだ笑い話です。

いよいよ最終地のロンドンへと続きます。
グロースター大聖堂でクロウタドリに出会う(完)
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7日目(6/23)ベッドフォードスクエア~大英博物館~オックスフォード通り~リージェンツパーク~オールドプロンプトン通り



▼ロンドン滞在ホテル

ロンドンの滞在ホテルは、イビス・ロンドン・アールズコート(Ibis London Earls Court)でした。最寄り駅は、ウェスト・ブロンプトン駅で、駅まで徒歩5分ほどの便利な場所にありました。


イビス・ロンドン・アールズコートの外観(ウェスト・ブロンプトン駅側より撮影)


部屋は、12階建ての3階で、シングルルームでしたが、ベッドも大きく、部屋も広くて、2人でも充分利用できそうでした。


チェックイン早々、部屋に落ち着くまもなくトラブル発生!トイレの水が流れない!!

部屋からフロントに電話すれば話は早いのですが、間違いなく英語が通じない。そこで、フロントまで行き、Google翻訳に「トイレの水が流れないのでチェックお願いします」を英語にし、その画面を拡大表示させ、この紋所が目に入らぬかって感じでその画面をフロントに見せます。そうしたら「OK!部屋番号は?」と聞かれるので、チェックインの時にもらったキー番号カードを見せる。これで完璧!!

しばらく部屋で待っていると係の人がやってきて、「どこも故障してない。たまるのに時間がかかるんだ」と言うので、2人で水がたまるのをひたすら待ち、ようやく「いいよ」というので試したら流れました。
故障ではなくて安心しましたが、時間がかかるってかかりすぎでしょう。
湖水地方の観光先でもトイレで苦労しましたが、ロンドンも同じくです。癖のあるトイレが多すぎます。


オイスターカードとチューブ(地下鉄)マップ

地下鉄やバスに乗るのにとても便利な交通ICカード「オイスターカード」を、駅の券売機で購入しました。券売機の画面表示に、日本語表示モードの切替もできるので安心して購入できます。カードを購入時だけ5ポンドのデポジットがかかるので、20ポンドをチャージし、25ポンド支払いました。このデポジット分は、カード返却時に返金されます。

▼婚約者ノーマン・ウォーンの自宅があったベッドフォード・スクエア8番地

ホテルのあるウェスト・プロンプトン駅から、ホルボーン駅へ移動。ホルボーン駅から徒歩約10分ほどで、ベッドフォードスクエア(Bedford Square)8番地へ。


横並びに4つの扉がありますが、手前の赤い扉の隣になります。

ここは、ドア周りの装飾が特徴的な建物で、ビアトリクスの婚約者だったノーマン・ウォーンと、その姉アミーリア(ミリー)・ウォーンと、母のウォーン夫人の3人が暮らしていた場所でした。
1905年8月25日、ノーマンはリンパ性白血病で、ここ8番地の自宅で亡くなりました。


作品タイトル:「ベッドフォードスクエア(Bedford Square)」(Private Collection)
「Beatrix Potter's ART」アン・スティーブンソン・ホッブス(編集)1989年(刊)より

ノーマンが亡くなったその同じ年1905年11月にビアトリクスは、ノーマンの自宅が見える公園、ベッドフォードスクエアガーデンを左側に、右側にノーマンの自宅があった建物を描いた作品を完成させました。


今でも同じ位置に立つと、ビアトリクスが見た光景が目の前に広がります。朝早かったため、公園の通路には前日のゴミが散乱していましたが。

▼ヒエログリフ版の「ピーターラビット」を出版した大英博物館

次にベッドフォードスクエアから徒歩5分のところにある大英博物館へ向かいました。


大英博物館(The British Museum)

ここは、1759年に開館した世界最古の博物館で、古代ギリシャ、ローマ、エジプトの遺跡から発掘された人類の歴史と遺産の数々を展示しています。また、私達ビアトリクスファンとしましては、『フロプシーのこどもたち』の原画を所蔵している博物館として知られています。


事前調べでは、入り口の荷物チェックに時間がかかる場合があるとありましたが、私達が訪れた日は特に混雑というほどでもなく、スムーズに入場できました。


ロゼッタストーン

大英博物館の大人気展示品のロゼッタストーンです。ナポレオン軍がナイル川で発見し、1799年に古代エジプトの象形文字ヒエログリフ解読の突破口となったものです。


ロゼッタストーンの一番上が、象形文字ヒエログリフで書かれた部分です。
このまわりは常にひとだかりができるほどの大人気でした。


ルイス島のチェス駒
もうひとつ、注目していたのは、映画「ハリーポッター」のシリーズ1作目に登場したチェス駒です。スコットランドのルイス島で1831年頃に発見されたもので、セイウチの牙で作られたものだから白い駒だそうです。映画ではハリーとロンが何気なくチェスを楽しむシーンから、自分たちがチェスの駒にまたがって勝負するシーンにつながる大事な布石となるシーンに、古代遺跡のような駒たちが使われていたんですね。


お土産ショップのディスプレイ
大英博物館のショップは、そのディスプレイから飛び跳ねるほど嬉しくなる場所でした。この博物館が所蔵している『フロプシーのこどもたち』のパネルが飾られていました。


ショップは、ガラス屋根が印象的なグレートコート(Great Court)にあります。


ピーターラビットコーナー
古代エジプトの象形文字ヒエログリフに翻訳された『ピーターラビットのおはなし』は、このショップで購入できます。


ピーターラビットガーデンコーナー
たくさん販売されている缶は、ティーバッグ入りのもの。お土産にも最適なサイズのもありました。


中央の棚にもピーターラビットコーナー
トートバッグやポーチなど、湖水地方で見たトリンケットトレイ(小物入れ)がここでも購入できました。


まだまだあるよ~ピーターラビットコーナー。


大英博物館限定のグリーティングカード


大英博物館限定のポストカード3種類
このポストカードの下の段の3枚は、10年以上前に日本で購入した大英博物館限定ポストカードです。10年以上前なので色褪せたと思われるかもしれないけれど、買った時とほぼ色は変わっていません。
そして、上の段の3枚はまったく同じ柄ですが、このショップで販売されていた色目が鮮やかになったカードです。色の印象が変わるだけで違う柄のカードかと思ってしまうほどでした。私は濃い色の方が好きです。


正面入り口よりグレートコート右奥にある「コートカフェ(Court Cafe)」


『フロプシーのこどもたち』紙コップ
ここでなんと『フロプシーのこどもたち』の紙コップがありました。世界広しといえども、この柄の紙コップは大英博物館のカフェしかありません。でも紙コップだけでは販売されておらず、飲み物を頼むと好きな柄のコップを選んでそれに飲み物を入れてくれます。


私は紙コップだけで欲しかったので、カフェのお兄さんに頼んでみたら、ニコッと笑って「好きなだけ持ってけ」って言ってくれました。「なんて優しい!!」きっとそんな要望がたくさんあるのでしょうね。こんな可愛いカップ、ビアトリクスのファンでなくても欲しくなっちゃいますもの。


マンチキンズ・レストラン
ランチは、大英博物館のすぐそばにあるマンチキンズ・レストランにしました。


日本語メニュー
このレストランにしたのは、店前に日本語のメニューが表示されていたから。


日本語メニューがあるからといって、注文してもイメージ通りのものが出てくるとは限らないのがこの国ではよくあります。私は万国共通であろうチキンカレーを注文。イメージ通りのものが出て来て安堵しました。しかしご飯が見えないぐらいカレーがかかっていて、カレーかけすぎ!!

午後からもロンドン散歩は続きます。この続きは次の記事にて。

ロンドン散歩 ビアトリクス・ポタ―ゆかりの地を求めて(完)
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